保育者の学びを考えるシンポジウム Part 2 の開催に向けて

表題のシンポジウムの開催もいよいよ今週末に迫ってまいりました。
みなさまに当日お会いできるのを楽しみにしています。

詳しくは当日に、といいながら今回のテーマについて少し。

Part1に引き続き、保育者の学びをテーマに皆さんといろいろと考え、学んでいきたいな、と考えています。そして、今回の副題には「振り返り」という言葉を入れてみました。振り返り = Looking Back = 後ろを見てみるということです。
「後ろ」は、もちろん時間軸的に後ろ、という意味で、つまり過去のことということになります。なぜ過去のことを扱うかというと、そこから私たちが学び成長する材料を探すためです。

一般的に「経験学習(Experiential Learning)」という言葉も使われたり、KorthagenもALACTモデルを経験学習モデルであると表記することもありますが、まあ、そういった難しい言葉はさておき、そこから学ぶことはできるか?どうやったら学ぶことができるか?について考えていきたいと思います。

繰り返しになりますが、私たちが学び成長する材料探しはどうやってできるか、という観点で、いろいろなところから考えてみよう、というお話しかと思います。

探し物ですので、見つかることもあれば、見つからないことも、そして思わぬ掘り出し物を得ることもあります。そして、ある程度は道具や方向性があったほうが見つけやすくなるかもしれない、ということで、今回もKorthagen先生のお話に登場いただくことにしました。

Korthagen先生は理論と実践のかい離という問題意識から「リアリスティック・アプローチ」という考え方を提唱しました。
その本義については、その全てを窺い知ることはできていないわけではありますが、この「リアリスティック」という言葉に少しこだわることによってさらなる学びの世界が開けるように思います。Realistic には「現実的な」や「実際的な」という言葉が訳としてあてられますが、Korthagenのいう文脈で考えるならば「『実際に起こっていること』『現実で起こっていること』からものごとをとらえて、あらたな学びの機会にしてみよう」という意味合いで理解するのがよいように思います。

そして、この『実際に起こっていること』がなかなか曲者です。私たちは、この『実際』を本当に捉えることができているのだろうか、という問題です。
私たちの周りもさることながら、私たち自身についても、その実際はどのようになってるのでしょうか。

これまでもこのようなテーマでいろいろな方とご一緒させていただきましたが、回数をかさねればかさねるほど深まる謎もあり、またいろいろな展開があります。
ただ、一つ言えることは保育の実践には、このような営みが役にたつ可能性が高いのではないか?ということです。
それは、保育の実践が連続的に絶え間なく流れ、形式的に実践を捉えることが難しいことに起因しています。
つまり、計画→実行→見直し、というような流れは(一応つくりますが)、それは全体の一部でしかなく、その他の部分で別の流れが同時並行しています。
ので、あとからこの計画だけを見直しても、なかなか全貌がつかめません。そこで、その実際から紐解いて全体を捉えたらどうなるだろうか、というところから、リアリスティック・アプローチの可能性を感じています。

少し難しく書きすぎてしまいました。ここに書き込みをしている時点で、きっと「リアリスティックではなくなってしまって」います。
続きは当日、皆さんと考えさせていただければと思います。

保育者の学びを考えるシンポジウム Part1(終了・報告)

2016年6月26日@大妻女子大学
お集まりくださった皆様、ありがとうございました。

アクティブな学びって何だろう?こんな題名でイベントを企画しました。
アクティブラーニングとも言わず、遊びとも言わずに、あまり手垢がついていない言葉で皆さんと考えよう、というつもりの題名です。

そして、題名にはもう一つこだわりがあります。それは「保育者の学びを考える」ということです。
REFLECTの本名は「学び続ける教育者のための協会」ですので、このイベントは、子どもの学びを考えるのと同時に、その実現を支える大人、保育者自身がどう学ぶか、ということを重視したかったためです。

前半のトークセッションで紹介された子どもたちの学びは、小学校であったとしても、保育所であったとしても、自分たちから世界を拡げ、創っていくものでした。さて、このセッションで提起された課題は、保育者(教育者)である私たちは何かと先回りをしがちである、ということです。

この学びにはどのような名前がついているのか、どのような教科があてはまるのか、どのように進めさせればよいのか。どこかにいってしまわないか気が気でなりません。

しかし、主体的な学びと言っている以上、うかつに手出しはできないわけです。かといって放置していればよい、ではプロの仕事になりません。では、どのように子どもとかかわることができるのか。それを後半のワークショップを通して考えていきました。

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言葉で表すのは、なかなか難しい。
ということで、今回は粘土を使ったワークです。子どもの学びの世界を、紙粘土で表してみました。そして、この世界に私たち保育者(教育者)はどのようにかかわっているのでしょうか。

それは、参加してくれた皆さんそれぞれの想いでお持ち帰りいただいたものと願っています。
このイベントはPart2へ続きます。Part2では、この「かかわり」について、それぞれの実践からしっかりつかみ取ることができるだろうか、そんな期待でリフレクションをテーマにしました。

次回も皆さんと一緒に考えられることを楽しみにしています。

保育者の学びを考えるシンポジウム Part2

6月26日の Part1 に引き続き、リフレクションと保育者の学びをテーマにしたイベントを開催いたします。
今回は、「保育における振り返り」について、皆様とじっくり語り合い学び合える機会をと企画させていただきました。
村井は保育者養成校の一員として、ここ数年取り組んできた「実習の振り返り」「現職教員の研修としての振り返り」についてお話させていただき、保育における振り返りのあり方について考え合う場をもちたいと考えています。
坂田からはF・コルトハーヘンのリアリスティック・アプローチにおけるリフレクションのあり方について理論と実践を交えてお話しし、実際にワークをしながら学び、考える機会をつくっていきます。
そして最後に矢野が「振り返りの振り返り」をさせていただきます。
保育者のみなさま、保育者養成に携わる皆さま、保育者の研修にご興味をお持ちの皆様のふるってのご参加、心よりお待ち申し上げております。

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なお、次回のワークショップは12月に開催の予定です。